阪神淡路大震災 20 周年事業

加川広重 巨大絵画が繋ぐ東北と神戸 2015

東北と神戸を繋ぐドキュメンタリー映画上映
監督:酒井耕・濱口竜介監督作品

日時1月18日(日)
11:30『なみのこえ 新地町』(1時間43分)
13:15 濱口監督 講演(20分)
13:50『うたうひと』(2時間)

 
会場:ワークショップスペース1(2F)

 『東北記録映画三部作』より『なみのこえ 新地町』2013/日本
東北記録映画三部作 第一部『なみのおと』の手法を受け継ぎながらも、震災から時間を経て記録された対話者たちの表現はより自立性を増し、様々な声の混交する町の肖像が描かれる。飲食店を営む兄弟、役所の仕事仲間、夫婦、監督達自身、恋人たち、漁師の親子。彼らが過去を振り返りながら未来を目指して放つ言葉や表情のひとつひとつが、聞くことと語ることの間から生まれるとき、古来よりその土地の言葉が決して絶やす事の無かったもの、すなわち一番の被災者でもあった死者たちのこえへと接近することになる。大きな問題を抱えた場所の記録であると同時に、フィクションとドキュメンタリーの間を通り抜けて新しい記憶の創造へと向かった映画的探求の到達点。
http://silentvoice.jp/naminokoe/

『うたうひと』2013/日本
雪の降りしきるある日、宮城県栗駒山にある山荘で三人の語り手(伊藤正子、佐々木健、佐藤玲子)と民話研究者の小野和子による民話の語り聞かせが行われる。農家の手助けをした猿に嫁入りに行った娘が残酷な結末をもたらす物語や、ひょんな事から鼠の巣穴に入った事で富を持ち帰る話など、方言の抑揚豊かな各々の語り手が順に民話を披露する一方、積極的な聞き手としての姿勢を示す小野和子が民話への考察を行う。中盤から各話者の自宅で一対一の語り聞かせが始まり、彼らが民話の語り手となった所以や、幼い頃の情景などを織り交ぜながら、民話が語られ、人々にとってそれが如何に大切なものであったかが明らかになる。後半、季節の変わった栗駒荘で再び「みやぎ民話の会」による語り聞かせが行われ、民話が現在の人々に親しまれる様子が描かれる。民話の語られる背景への考察なども含め十数話を収録。
http://silentvoice.jp/utauhito/

濱口 竜介
1978年神奈川県生まれ。東京大学在学中から自主映画の制作を始め、同大学文学部を卒業後、映画の助監督やテレヒ番組のADとして働く。2006年に東京藝術大学大学院映像研究科監督領域に入学し、修了制作『PASSION』(2008年)は国内外の映画祭で高い評価を得た。その後も日韓共同製作『THE DEPTHS』(2010年)、4時間に渡る長編『親密さ』(2012年)、染谷将太主演『不気味なものの肌に触れる』(2013年)等を監督。2011年~2013年にかけては東北記録映画三部作『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』を酒井と共同で監督した。その後活動拠点を神戸に移し「即興演技ワークショップ」を開催した後、現在ワークショッフ参加者出演による新作長編映画を撮影中。